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出棺にまつわるしきたり
地方によっては、出棺の際に、故人の常用の茶碗を玄関で割る風習がある。
茶碗を割るのは、故人の魂が迷わず成仏するように、いちばん心が残るといわれる日常の食器を割って、この世への未練を断ち切るのだ。
葬列を組んで火葬場に行くのは、ただ遺体だけを送るのではなく、霊魂も無事に成仏させるための儀式なのだ。
そのほかにも、次のような風習がある。
・玄関から出ないで、庭に降りて運び出す。
・担ぎ出した棺を三回回してから霊柩車へ乗せる。
・愛用の品を棺に入れる。
・わざと葬列を遠回りさせる。
・帰りは別の道を通る。
これらの風習は、すべて、霊魂がさまよい、戻るのを避けるためである。