野辺送り

野辺送り」とは、死者を墓まで見送ること。

土葬が一般的に行われていた時代には必ずしたものだった。
現在は、火葬が多くなったので、墓というより、火葬場まで見送る形となり、霊柩車のあとを血のつながりの濃い順に、車を連ねて走るのも、「野辺送り」という。
本来、野辺送りは、遺体を送るだけでなく、死者の霊魂が無事に成仏するようにと仏様のご加護を念じる。
葬列の順番や、持ち物など地方により違うが、今でも農山村で行われている一例をあげると、次のようになる。
●出棺の前に、近親者は一膳飯を食べる。
●出棺合図の鐘がなると、庭先で棺を左に三回まわし、仮門(かりもん)から出る。
●先頭は鉦(かね)をたたく。
●葬列は、松明(たいまつ)、高張提灯、竜頭(たつがしら)、魂袋(たまぶくろ)、幡(はた)、僧侶、位牌(喪主)、遺影(妻か子)、飯持ち、水桶、香炉、紙花、天蓋(てんがい)、供花、奠湯(てんとう)、奠茶、導師、その後、遺体を乗せた輿(こし)、親族、近親者の順で葬列として並ぶ。
 この中で、位牌持ち(喪主)と輿を担ぐ人、天蓋持ちの三役は、白の上衣にわらじかぞうり履きで、特に喪主は白の裃を着けることもある。
●葬列が墓地につくと、入り口で棺を右に三回回してから中に入り、棺台に安置。
 焼香のあと、埋葬か火葬に付す。
※現在、都市部では土葬が禁止されているが、山間部や僻地(へきち)など火葬場の設備がない地域では、今でも土葬をしている。
 ちなみに、茨城、山梨、高知、滋賀、福島、栃木(高率順)の各県では、20%前後の埋葬率で、土葬が行われている。
 また、火葬して遺骨にしてから、昔ながらの野辺送りの葬列を組む風習も、全国各地に見られる。

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